傀儡の宴
※注意! ハードな表現を含みます。開幕 「悪夢」※《》内の人物の視点となっていいます。
《理央》ぴーん ぽーん玄関からちょっと調子の外れたチャイムが鳴り響く。
ちょっと壊れてるから音が変なだけだけど。
「はいはーい、今行くよ~」
ガチャリ
「リオ、おはよー」
「はよっ、よく来たなー」
うちを訪れたのは俺の友達の薫(カオ)と士郎(シロ)。
もちろん突然来たわけじゃなく、連休を遊び倒すために朝から集合した。
実は今うちの両親懸賞で当たったペア温泉旅行に行ってて家にいない。
そんなタイミングで連休ともなれば、健全な小学生なら遊んで遊んで遊びまくるしかないっ!
てな訳でこれから皆で遊ぶのさ~。
「まあ、とりあえず俺の部屋に来いよ」
「「おじゃましまーす」」
俺達は部屋に向かうと今日は何をしようかと相談を始める。
「今日は何をしようか?」
「んー、とりあえずゲーセンでも行こうか?」
「とりあえずそれは昼すぎてからでもいいんじゃないか?今来たばかりだし少しゲームでもしてかない?」
「まあ、それでいいか…」
ということで俺達は3人でゲームをすることにした…。
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俺達は今大人気かつ超定番ゲーム会社『マイクロ・ソニードー』社のゲームハードである『プレイボックスwii』で遊んでいる。
これを買うために何度もお年玉を貯めてやっと買ったんだよなぁ。
今やこのゲームを知らないやつはまずいないといえるだろうゲーム機だ。
「うあーまた負けたぁ~」
「よっし!」
(くっそ~あそこでミスらなければ…)
「そろそろこのゲームも飽きたし、別のゲームやろうよ」
「そうだな、他のやろう」
「そうするか…あっ、そういえば…」
俺は昨日ゲームを偶然拾ったことを思い出した。
どうせだからこれをやってみるのもいいか…。
ゴソゴソ…「なあ、このゲーム昨日拾ったんだけどさ。どうせだしやってみない?」
「なにそれ、どんなゲーム?」
「説明書は?」
俺の提案に興味を示した二人。
「んー、よくわかんないんだよな。説明書も無くなっちゃってて。とりあえずジャンルはパーティゲームらしい。」
「『パーティ・クエスト』か…聞いたことないゲームだけど…」
「人生ゲームとかみたいなやつかな?」
「どこのゲーム?」
「どれどれ…ナイトメアー・ドリームって会社だってさ。」
「聞いたことないなぁ、あまり期待できないかもね」
「まあ、どうせタダだしさ、ちょっとだけやってみようぜ」
「まあ、いいか。よし、やってみよう」
「あっ、このゲーム4人用だ。どうせだったらもう一人欲しくない?」
「そうだな…」
そういえば類のやつがまだ部屋にいるはずだ…。
入れてやろうかな?
「じゃあ、弟よんでみるよ。たしか暇してたはずだ」
「類君?いいよ。」
俺は部屋を出て弟の部屋へと向かった。
コンコン「なーにー?」
部屋から弟の声が返ってきた。
やっぱり部屋にいたらしい。
「今、俺達ゲームやってるんだけどさ、4人用ゲームみたいだからお前もやんないか?」
「えっ、やるやるー♪」
「じゃあ俺の部屋に来いよ」
「うん、わかった」
俺達は部屋に集まるとゲームを開始する。
電源を入れてゲームスタート!
ゲームが始まり、画面が現れる
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【PARTY QUEST】
[チュートリアル]
[EASY]
[NORMAL]
[HARD]
[MANIAC]
[NIGHTMARE]- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
「いろんなモードがあるみたいだよ」
「とりあえずチュートリアルがあるみたいだし、これでどんなゲームか見てみようぜ」
「そうだな」
ということで [チュートリアル]を選択した。
チュートリアルのストーリーとしてはこうだ。
『平和だった人間界…しかしある日突然、魔界から悪魔たちが攻めてきた。
悪魔たちは人間たちに対し無理難題を強制し、答えられないと魂を奪い取るなど好き勝手に暴れまわった。
しかし、そこに4人の勇者が立ち上がった!
勇者たちは次々とクエストをこなし悪魔たちをやっつけていく。
道中で様々な幸運、不運に見舞われ、ハプニングを乗り切り、イベントをこなして人間界に平和をもたらしていく。
そして、一番クエストをこなしたものを勇者の中の勇者と称え、望みをなんでも叶えることと貢献度に応じて褒美を与えることが約束された。』
というストーリーだ。
ようはゲームシステムとしては
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①止まったマスごとにイベントやクエストがあり、クエストをこなすことでポイントがたまる。
②クエストを達成したかどうかはほかのプレイヤーからの多数決で決まる(コントローラーの○ボタンか×ボタンを押す)
③クエストポイントは成功で1ポイント失敗でマイナス1ポイント与えられる。
④ゴールした時点で最もクエストポイントが多かったものが優勝
⑤移動はダイスを振った目ずつ進める- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
ということのようだ。
人生ゲーム的なボードゲーム要素とすごろくにパーティでの罰ゲーム要素を足したようなものかな…。
俺達はチュートリアルを開始してみることにした…。
プレイヤーごとに名前と性別を登録する。
あと、カメラ機能を使ってプレイヤーの顔を自分の顔にできるようなので皆で撮影して登録してみた。
「お
っ『3ターン移動速度+1』だ。よーし」
「
『クエスト:100秒間息を止める』!?…………ぶはぁっ! はぁっ はぁっ」
「
『イベント:神の祝福=1度だけ無条件でクエスト達成』…!やったーっ」
「『クエスト:好きな相手の名前を言う』!?……できるかぁっ!!」
「
『クエスト:片足で3分間倒れずに立ち続ける』……よっし成功!」
「
『イベント:ダイスを振り、1~3の場合呪いが掛かり、5ターンの間1づつしか進めないうえ、達成してもクエストポイントが入らない。4~6ならクエストポイントが5ターンの間2倍』…………うっ、「2」出ちゃった…」
こんな感じでチュートリアルを終えた。
結構盛り上がって楽しかったなぁ。
「けっこう盛り上がるな、これ」
「仲いい友達同士だと楽しいね」
「チュートリアル終わっちゃったしちゃんとゲーム始めようよ」
「どんな感じに変わるんだろね?」
意外と楽しかったのでゲームを続行することになった。
「じゃあどのモードにしようか?」
「最初だしイージーでいいんじゃない?」
「でもちょっと一番下の [NIGHTMARE]モードってどんなクエストが出てくるのか興味ない?」
「確かに…。ちょっとやってみようか?どうしても無理だったらリセットすればいいんだし」
「とりあえず見るだけ見てみよう」
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このことを俺達はあとで後悔するとも知らず、軽い気持ちで [NIGHTMARE]モードを選んでしまったんだ。
そう、あんなことになるなんて思わずに……。--------------------------------------------------------------------------------
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【PARTY QUEST】
[チュートリアル]
[EASY]
[NORMAL]
[HARD]
[MANIAC]
[NIGHTMARE]←- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
[NIGHTMARE]モードを選び先ほどと同様にプレイヤー登録を済ませると画面が暗くなり、スピーカーから甲高い不快な声が流れる。
『ケケケケケッ 今日もバカな勇者様《イケニエ》達がやってきたァ♪
悪夢へようこそfuck'n boys!
あんたたち覚悟はいいかい?
小便はすませたか?
神様にお祈りは?
部屋のスミでガタガタ震えて許しを乞う心の準備はオーケイ?
でもオイラは空気を読まねェ、オイラにゃそんなの関係ねェ!
ダイジョブ、ダイジョブ何とかなるさ♪
みんなでやれば怖くない♪
それじゃ、いくぜェ 楽しんでけよォ Let's go to nightmare!』
ピカッ画面が光ったかと思うとエフェクトとともにゲームステージの画面が映し出された。
その風景は先ほどやったチュートリアルの画面とは違い、闇がはびこり、瘴気のたちこめる、まさに魔界というべき風景だ。
【プレイヤー:リオのターンです】画面には行動の始まりを告げる指示が映し出される。
「と、とりあえずやってみようぜ。イヤならやめればいいんだし」
俺は画面上に現れたダイスを振る。
コロ…コロ…
【4】が出た。
止まったマスはクエストマスだったのでクエストが表示される。
【クエスト:上半身の衣服を脱ぐ】「うっ 最初からこんなのか…」
まあ、これぐらいならと思い素直に指示に従う。
パサッ上半身裸になり、他のプレイヤーからの審査が行われる。
【○×3】まあ、実行したのだから当然だ。
クエストポイントが1加算される。
「最初からこんなレベルってあとからどうなるのかなぁ」
薫が素朴な疑問を口にした。
俺もそう思う。
「まあ、ちょっとやってみて無理そうならリセットすればいいし」
と士郎が提案する。
これにはみんな元々そのつもりだったから嫌も応もない。
【プレイヤー:ルイのターンです】「次はぼくだね…えーいっ!」
無意味にボタンを連打する類。
【5】が出た。
【イベント:次のターン移動-1】「ありゃ…」
【プレイヤー:カオのターンです】「それっ」
【2】が出た。
【イベント:次のターン移動+1】「ふーん…」
【プレイヤー:シロのターンです】「今だっ」
【1】 「あれ…?」
【出発前に一休憩。次のターン1回休み】「いきなり一回休みって…」
皆1ターン目が終わった。
「ビビってたけど実はあんまり大したことないのかも」
「んー…」
「まだ、なんともいえないね」
「続けても大丈夫そうじゃない?」
皆、感想を口にする。
まだ1ターンだけだから分かんないかな。
まあ、別にやめてもいいしなぁ…。
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俺達はこの時はまだ、このゲームの本当の怖さをまだ知らなかった…。
このあと襲いかかる悪魔のたくらみにまだ気づいていなかったんだ…。--------------------------------------------------------------------------------
《理央》
【プレイヤー:リオのターンです】ダイスを転がすと
【3】が出た。
【クエスト:他のプレイヤーとキスをする。ダイスを振り、1,2ならルイ。3,4ならカオ、5,6ならシロ】「うぇっ?! やだよっ できるかっ!」
他の3人も驚いている。
「いきなりきたね…拒否でいいんじゃない?」
「今回はスルーで」
俺はもちろんスルーしようとした。
しかし、体は勝手に動きダイスを振り始めた。
「え、?」
コロ…コロ…
【3】「あれっ、なんでダイス動かしたの?」
当然、スルーせず進行するおれに疑問が問いかけられる。
「いや、何か体が勝手に…」
「勝手にって…。実はしてみたいとか言わないよね?」
「いや、マジで体が勝手に動いたんだって…… ? ?? えっ? あ、あれ?」
「どうしたの?」
「い、いや、また体が勝手に!? え!? う、うわっ」
俺の体は勝手に動き、立ち上がったかと思うと薫の所まで向かう。
「えっ?り、リオ、ちょ、ちょっと何す…む、ムグッ…」
チュッ「う、うわぁっ なにするんだよっ マジでキスするなんて何考えてんの?」
「俺の意思じゃない!体が勝手に動くんだよっ!」
そういう間もまだ体は動き続ける。
「勝手にってそんなわけ…ちょっ ヤッ ンーッ!」
俺はまた薫に深く口づけた。
チュッ ピチュッ チュパッ薫の体を抱きしめながら濃厚なキスを繰り返す。
薫は俺の体をドンドンと叩きながら抵抗しているが、そのうちに苦しくなったのか抵抗が弱まり始める。
「ン…ふあっ…」
自重しない俺の体はなおも勝手に動き続け、薫の口内に舌を差し入れた。
絡まり合い、音を立てて口づけあう二人の唇と舌。
二人とも本意でないのにおかしな気分になりそうだ。
しばらくの口づけの後、口がやっと離され、二人の間に唾液で橋が架かる。
パァンッ高い音をたてて薫にビンタされた。
「リオっ!なにするんだよっ!ふざけるにも限度があるだろ!?」
「違うっ!ホントに体が勝手に動いたんだよ!俺の意思じゃないっ!」
「…!」
「…?」
「あれっ?」
俺達がもめていると類が戸惑った声をあげる。
俺達の喧嘩におろおろとしていた類がゲーム機の方に向き直る。
【プレイヤー:ルイのターンです】「えっ? え…うそ…なんで?」
何かに戸惑った声を上げながらコントローラーを持ちダイスを振る類。
【5】が出た。
前回のイベント-1により4マス進む。
「えっ えーっ ぼ、ぼく、なんで?か、かってに体が…!」
【クエスト:衣服をすべて脱ぐ】「「「「!」」」」
「えーっ!やだ、やだぁ!」
類は指示になんて従えないと激しく拒否をする。
しかし、類は嫌だ嫌だと首を横に振りながらも両手を動かし始めた。
グイッ
パサリ…「えっ やっ 脱ぎたくないっ!止まってっ!やだっ」
類は泣きべそをかきながら衣服を脱いでいく。
その光景を見ていれば自分の意思でないことはすぐわかる。
俺達はあっけにとられ何もできず、ただそれを見ていた。
類の手はついにはいている下着にまで及んだ。
ブリーフの裾をつかみ一気に脱ぎ下ろす類。
「やっ やだぁぁーっ!何で…」
泣きながら自分の衣服を脱ぎすてていく少年の姿は異様だった。
パサッついに一糸まとわぬ姿となった類。
「「「!」」」
チンチンを丸出しにして涙を流す弟を前に、俺は駆け寄った。
「類、落ち着け」
「お、おにいちゃぁん…う、う”えぇぇぇん」
マジ泣きする弟の頭を抱きよせてあやす。
「ぼ、ぼくぬぐつもりなんてなかったのに、か、かってに手がぁっ」
「うん、分かってる。お前がしたかったわけじゃないよな」
「うぇぇぇん…!」
俺は脱ぎすてられた類の衣服を拾い上げて着せてやろうとした。
「ほら、服着ろよ」
「グスッ うん…」
下着を受け取ろうと手を伸ばす類。
しかし受け取ろうと下着に触れた瞬間、伸ばした手が下着を払いのけて遠くへと放った。
「あっ!なんでっ?!」
類の様子からはこれもまた本意でなかったことがわかる。
あわてて下着を拾いに行った類は下着を手に取ろうとするたびに、目測を誤って触れなかったり、さらに放り投げたりしてパンツを履くことができないでいる。
どうやら、自分の意思とは無関係に体が服を着直すことを拒んでいるようだ。
俺は恐怖でまた泣き出した弟を抱きとめてまた落ち着かせる。
「もういいよ、大丈夫、無理すんな」
「おにいちゃん、僕の体どうなってるの…?」
自分の意思によらず体が動く恐怖は経験してみないとわからないだろう。
俺にはよくわかる。
さっきの俺がそうだったから。
「このゲームのせいで体が勝手に動かされてるんだ。このゲームおかしいよ。もうやめよう。」
俺たちを見ていた二人は頷くとゲーム機の電源を切ろうと手を伸ばす。
「あ、あれっ えっ?」
「か、体が…あっ」
二人はゲーム機の電源ボタンへと手を伸ばしたが、寸前でおかしな動きをして電源ボタンを押すことができない。
はたから見ているとふざけてるのかと思えるが、二人の困惑と焦りの表情から、また操られているのだとわかる。
「もう、ゲーム機ぶっ壊していいから!」
「う、うん!えいっ あ、そんな…」
薫は足で踏み潰して壊そうと足を振りあげるが振りおろそうとしたところでゆっくりと足を下ろした。
「どいてっ これでたたき壊す!」
士郎が部屋の片隅にあった野球バットを振りあげ、ゲーム機へと振り下ろした。
ブンッ ガツッ
しかし、ぶつかる寸前で大きく軌道がずれ、床に強くバットが叩きつけられる。
「だ、ダメだっ 壊すこともできない!」
「か、体が勝手に動いてゲームを止めることができないんだ!」
「な、なんだってっ!?」
ゲームを止めることも、壊すこともできず焦る俺達。
「じ、じゃあ…このまま無視しよう!部屋を出るぞ!」
俺はこの異常な状況から抜け出そうと部屋のドアを開けようとした。
ガチャッ ガチャガチャッ「あ、開かない!鍵なんてついてないのに!」
「「「!」」」
「あ、う、うそ…や、やだ、ちょっと…」
薫が戸惑った声を上げながらゲーム機の方へと歩き、座ってコントローラーを手に取る。
そして、またダイスが振られる。
【5】が出た。
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俺達はようやく気付いたんだ。
このゲームが悪魔のゲームだってことに…。
そして、自分たちの意思で中止することも、もうできないんだってことに…--------------------------------------------------------------------------------
《薫》【クエスト:おもらしする】「いや…ちょっと…冗談でしょ?」
勘違いしようもない明確に示されたクエスト。
このような状況でなければふざけるなと怒り出したいところだが、今しがた自らの意思に反して行動させられる二人を見ていた自分には、怒って暴れようとも、泣きだそうとも逃れられない運命であることが分かってしまう。
「う、ぁ…」
下腹部から圧倒的な尿意が襲ってくる。
僕はそれを懸命にこらえた。
友達の前でおもらしするなんて嫌だ!
「くっ ふぅっ…!」
だが、僕の懸命の努力をあざ笑うかのように、下腹部の圧力は高まり、ついにその緊張が破られる。
チョロッ…「あ、あ、あ…」
チョロッ
ジョロ…
ジョロロ…
ジョロ…ジョロ…ジョロ…僕の股間からはおしっこが漏れ始め、ズボンに黒いしみが広がっていく。
吸い切れなかった黄色い液体が足を伝って床へと流れていく。
見る見るうちに生暖かい液体が足元へと流れ落ちる。
僕は我慢を重ねた末の放尿の快感を強制的に感じさせられた。
この年になって人前でおもらしすることは屈辱以外の何物でもない。
強制された屈辱に顔を赤くして耐えること数秒。
おしっこがその勢いを弱め、ついには止まる。
恥ずかしくて皆の顔を見ることができない。
「き、気にすんなよ…恥ずかしくなんかないさ!自分のせいじゃないんだ」
理央が僕へとフォローの言葉を投げかける。
自分の意思によらず操られた経験があるもの同士の共感がその言葉を発させたのだろう。
「ゴメン、タオルもらってもいい…?」
「おう、ちょっと待ってろ…」
理央はタンスを開けるとタオルを放ってよこす。
僕はまずおしっこでぐしょぐしょになったズボンとパンツを脱ごうとした。
しかし、先ほどゲーム機の電源を消そうとした時のように、触れる寸前で勝手に手がそれてしまい、服を脱ぐことができなかった。
「くそっ 服を脱ぐことも許されないっていうのかっ!」
僕は自分の行動を強制される理不尽さに憤り、唇をかみしめる。
やり場のない感情が目からあふれ出し、頬を伝う。
「うっ くぅっ くそぉっ」
涙は後から、後から盛り上がり、次々と流れ落ちる。
僕はしばらくそのまま泣き続けた。
感情がおさまりを見せたとき、理央が声をかけてきた。
「わかるよ、お前の気持ち…お前だけじゃない」
「リオ…ごめん、さっきぶったりして…リオのせいじゃなかったのに…」
「いいよ…怒ってない。信じられなくて当然だ。俺だってまだ信じたくない…」
「うん…ごめん…」
「それより、ズボン拭いちゃえよ、タオルはダメにしちゃっていいからさ。気持ち悪いだろ?」
「うん…ありがと…」
僕はできる範囲でズボンとパンツをきれいにすることにした。
脱ごうと思わなければ、たやすくズボンに手をかけることができた。
ズボンの水分をタオルに吸わせ、パンツの中にもタオルを突っ込んで、できる限り不快感をなくそうとする。
タオルはおしっこを吸い、どんどんと黄色くなっていく。
一通りきれいにし終えた後、その場に座る。
もう、僕たちはあがいても無駄なのだということを悟ってしまっていた。
言葉にせずとも自然と皆テレビに向き直る。
「解放されるにはクリアしかない…」
「うん…クリアすれば終わるはず…」
それ以外に道はなかった。
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意識に反してうごかされる僕たちの体。
脱出禁止の匣(はこ)と化した部屋。
与えられた命令に逆らうことのできない僕たち。
次々と与えられる恥辱の命令。
それはあたかも人形劇のようにその開幕を告げたのだ…--------------------------------------------------------------------------------
{続く}
<登場人物>
仁形 理央(にがた りお)~12歳。カッコつけたいお年頃の少年。類にはよく兄貴ぶる。顔立ちの整った美少年でスポーツが得意。
みんなよりチンチンが小さいことを気にしている。あだ名はリオ、リオっち。
仁形 類(にがた るい)~11歳。甘えんぼ。小柄な体格で愛らしい少年。チンチンが大きいことをからかわれるのが悩み。お兄ちゃんのことは大好き(信頼・尊敬的な意味で)
あだ名はルイ、ルゥくん。
尾山 薫(おやま かおる)~12歳。長く伸ばした髪と女の子のような顔つきのせいで美少女にしか見えないがれっきとした男。あだ名はカオまたはカオちゃん。
黒古 士郎(くろこ しろう)~12歳。普通の少年。理央と薫のことを親友だと思っている。あだ名はモノクロ(名前が黒と白だから)または、シロ、クロ。
<登場語句>
マイクロ・ソニードー社
~世界最大のゲーム会社。世界的なヒットを生み出しており、ゲーム業界をほぼ独占している。元々、3つの企業だったが、突然合併し業界を驚かせた。
プレイボックスwii
~マイクロ・ソニードー社が誇るゲームハード。
非常にクオリティが高く、多機能。
世界で最も支持されるゲーム機。
パーティークエスト
~プレイボックスwii用ソフト。
今作で4人がプレイするゲームソフト。
人生ゲームなどに代表されるダイスを振って進み、止まったマスによって内容の変わるタイプのゲームである。
マスにもイベントマスやクエストマスなどの種類がある。
また、固定マスだけではなくランダムで内容の決まるランダムマスなどもある。
テーマ:官能小説 - ジャンル:アダルト
- 2009/11/23(月) 01:17:10|
- 傀儡の宴
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